人吉市願成寺町
木造阿弥陀如来坐像
国指定重要文化財(彫刻)
「願成寺」は、相良家初代当主・相良長頼によって現在の人吉市街地東部の台地麓に1233年に建てられたお寺です。鎌倉時代から明治維新まで、領主・藩主としておおよそ800年近く人吉を治めた相良家の菩提寺として現在に至ります。お寺は人吉城から見て陰陽道の丑寅(北東)の方向にあり、これは鬼門を護るという願いを込めたためだと伝わっています。
寺は国家の鎮護や皇室繁栄を祈願する「勅願寺」に指定され、以降、江戸時代を通じ相良氏の庇護と優れた僧の輩出などによって人々の信仰を集めています。現在は、九州八十八カ所第五十番札所になっています。
国の重要文化財に指定されている木造阿弥陀如来坐像は、鎌倉時代初期に造られたものが、湯前の普門寺を経由し願成寺に1658年に移されたと言われ、3度の火災をくぐり抜けて今に残ります。彫眼、表面には漆を施した高さ110.8cmの像は、寄せ木造りの手法で造られたものです。穏やかさの中に厳しさもある表情と、写実的な衣服のシワなどの表現から幾内(京都に近い地域)の仏師によるものと考えられています。
他にも、木造不動明王立像や石造りの七重塔、寺に膨大に残る古文書は歴史資料としての価値が高く県指定重要文化財になっています。さらに、裏手斜面一帯は「相良家墓地」になっていて、相良氏歴代当主・夫人・子供・家臣など、計249基の墓石が五輪塔を中心に立ち並び、相良家墓地も県指定史跡に指定されています。
文化財の概要
住 所
〒868-0022 熊本県人吉市願成寺町956
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