球磨郡あさぎり町
木造二天王立像 / 木造毘沙門天立像
国指定重要文化財(彫刻)
あさぎり町深田北・荒茂地区に「荒茂毘沙門堂」があります。この御堂は元々、「勝って福を成す」と勝利の神として信仰を集めてきた「勝福寺」の仁王門でしたが、1870年に廃寺に。その際に「荒茂毘沙門堂」として改造し、現在は本尊である、木造毘沙門天立像を含め8体の仏像を安置しています。「勝福寺」は、平安時代末期に平清盛の長男・重盛(1138〜1179年)の菩提寺として建てられたという説がありましたが、長年推測の域を超えることはありませんでした。 ところが、2004年に本尊である木造毘沙門天立像のお腹の中に墨で書かれた記録が発見され、1156年に本尊が造られたことと、地元を治めていた須恵氏の菩提寺として造られたことが分かりました。その後、相良氏の菩提寺として崇められていました。
「勝福寺」の遺物として現代まで守り続けられ、「荒茂毘沙門堂」の堂内に安置されている3体の像が国指定重要文化財です。本尊である木造毘沙門天立像は、熊本県内にある毘沙門天像のなかでも最大級の高さで242.8cm。クス材・寄木造・目は彫り込まれています。1156年に、この地の領主・藤原家永が長寿を願って安置しました。本尊の頭上には、「毘沙門天の使い」と言われるムカデを描いた壁板が4枚はめ込まれています。
本尊の両側に立つのが木造二天王立像です。向かって左の像は、本尊と同じ木造毘沙門天立像であり、高さ138.2cm、ヒノキ材・寄木造で造られています。向かって右は、木造天部形立像で、高さ135.2cm、ヒノキ材・一木造で、どちらも1147年に造られたと推測されています。
他にも、球磨地方では珍しい仁王門があり、その両側に赤に彩色され、勇猛・威嚇を表現した像高約190cmの仁王像が安置され、地元の人々からは、「仁王さん」という愛称で親しまれています。
文化財の概要
住 所
〒868-0441 熊本県球磨郡あさぎり町深田北1280
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